2026年9月27日 ・ インボイス

間違えたインボイスは、黙って作り直してはいけない

送った請求書の消費税額が違っていた。税率を取り違えていた。登録番号の桁が1つ抜けていた。こういうとき、ファイルを直して「こちらが正しいものです」と送り直すだけでは、どちらが有効なのかが相手にも自分にもわからなくなります。インボイス制度では、誤りがあったときに売手が何をしなければならないかが法律で決まっていて、やり方も国税庁が例を示しています。

修正したインボイスを交付するのは、売手の義務

消費税法57条の4第4項・第5項により、適格請求書発行事業者は、交付した適格請求書・適格簡易請求書・適格返還請求書の記載事項に誤りがあったときは、相手方に修正したものを交付しなければなりません。PDFをメールで送った場合など、電子で提供したものも同じです。

「買手から言われたら直す」ではなく、誤りに気づいた時点で売手が対応するものです。買手は誤ったインボイスのままでは仕入税額控除の要件を満たせないので、放っておくと相手に迷惑がかかります。

直し方は2通り

国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」問33は、修正したインボイスの交付方法として次の2つを例示しています。

方法書き方向いている場面
全部を書き直す誤りを直したうえで、記載事項のすべてを改めて記載したものを交付する。表題に「修正」などと入れる明細が少ない、請求書作成ソフトで再発行できる
修正点だけを示す当初のインボイスとの関連性(日付・請求書番号など)を明らかにし、修正した事項を「正・誤」で明示したものを交付する明細が多く、直したのは一部だけ

後者の例として、Q&Aは「〇年〇月〇日付4月分請求書について、下記のとおり誤りがありましたので、修正いたします」と書き、10%対象の売上額と消費税額等の正誤を並べた書類を示しています。この場合、当初のインボイスと合わせて保存してもらう必要があるので、その旨を書き添えます。

どちらの方法でも、「どの請求書を直したものか」がたどれることが要です。請求書に番号を振っていないなら、この機会に振っておくと、修正のたびに困りません。

買手のほうで直してもらう方法もある

受け取ったインボイスに買手が自分で手書きの修正を入れることは、原則として認められません(Q&A問92)。買手は、売手に修正したインボイスを求めるのが原則です。

ただし、別の道があります。買手が作成した仕入明細書等で、売手の確認を受けたものも、仕入税額控除のために保存する請求書等に当たります(消費税法30条9項3号)。そこで次のような対応が認められています。

このように買手の仕入明細書等で修正した場合、売手は改めて修正したインボイスを交付しなくても差し支えありません(Q&A問32)。ただし、売手は当初に交付したインボイスの写しを保存する義務があり、売上税額を積上げ計算している場合は、確認した仕入明細書等もインボイスの写しと同じ期間・方法で保存する必要があります(Q&A問92)。

毎月の取引なら、翌月の請求書で調整できる

月ごとに請求書を出している継続取引で、単価や数量の誤りを翌月の請求書で加減算して調整する運用をしている場合について、Q&A問34は、その調整によって修正したインボイスの交付があったものとして取り扱って差し支えないとしています。

この場合、翌月分のインボイスに書く「税率ごとに区分して合計した金額」と「税率ごとに区分した消費税額等」は、前月分の過少・過大請求を加減算した調整後の金額になります。どの月のどの品目をどう直したのかを、請求書の中に明示しておきます。

過大請求の調整は、単なる誤りの訂正だけでなく、値引などの売上げに係る対価の返還等に当たる場合もあります。その部分は適格返還請求書の交付が必要ですが、インボイスと1枚の書類にまとめて交付できます(振込手数料の差し引きが値引に当たる場合の扱いは、振込手数料を引かれて入金された。これは値引きか、手数料かを参照)。

電子で送ったものを直すとき

PDFをメールで送った請求書を修正する場合、修正版だけを残して最初のPDFを消してしまいがちです。しかし売手は当初に交付したインボイスの写しを保存しなければならず、電子で送ったものは電子帳簿保存法の電子取引データとして保存します。当初版と修正版の両方を、どちらが修正版かわかる名前で残してください(メールで届いた請求書は、印刷して紙で保存してはいけない)。

誤りに気づいたときの手順

  1. 誤りがどの請求書の、どの記載事項か(税率、税額、金額、登録番号、日付など)を特定する
  2. 次の請求で調整できる継続取引なら、翌月の請求書で加減算し、修正内容を明示する。そうでなければ、全部を書き直すか、修正点を示す書類を作る
  3. 修正版には当初の請求書の日付・番号を書き、「当初の請求書と合わせて保存してください」と添える
  4. 買手から「こちらで仕入明細書を作って確認をお願いしたい」と言われたら、内容を確かめて確認する。自社では当初のインボイスの写しを保存する
  5. 当初版と修正版の控えを、両方とも保存する

出典

本文の法令・国税庁資料は、次の一次情報を確認しています。国税庁Q&Aの問番号は改訂で動くことがあるため、版を明記します。

この記事は制度の一般的な説明であり、個別の取引の判断を行うものではありません。自社の取り扱いについては、必ず顧問税理士または所轄の税務署にご確認ください。国税庁のQ&Aは改訂されることがあるため、実際の処理にあたっては公表されている最新版をご確認ください。

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