2026年9月27日 ・ 経費と減価償却

パソコンを一度に経費にできる上限は、40万円未満になった

青色申告の中小事業者が、仕事用の機器を買った年に全額を経費にできる「少額減価償却資産の特例」。その上限が、令和8年度税制改正で30万円未満から40万円未満に引き上げられました。物価が上がり、仕事用のパソコン1台で30万円を超えることも珍しくなくなったためです。ただし、全額を経費にできるかどうかは、税込で見るか税抜で見るかで変わることがあります。

何が変わったか

国税庁「令和8年度 法人税関係法令の改正の概要」によると、中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例は、次のように見直されました。

令和8年度税制改正の大綱は、この見直しについて「所得税についても同様とする」としており、青色申告の個人事業主にも同じ引き上げが行われています。取得価額基準は取得等をした日で判定するので、令和8年3月31日までに買ったものは30万円未満が基準のままです。

3つの線の違い

機器や備品を買ったときの経費の計上方法は、取得価額によって3段階に分かれます。今回変わったのは3段目だけです。

取得価額方法使える人
10万円未満買った年に全額を経費にできる(少額の減価償却資産)すべての事業者
20万円未満3年間で均等に経費にできる(一括償却資産)すべての事業者
40万円未満買った年に全額を経費にできる。年300万円まで青色申告の中小企業者等・中小事業者
それ以上耐用年数にわたって減価償却する—

白色申告の個人事業主は、3段目の特例を使えません。30万円のパソコンは、白色申告なら耐用年数(パソコンは原則4年)にわたって減価償却することになります。

税込か税抜かは、消費税の経理方式で決まる

取得価額が40万円未満かどうかは、その事業者が採っている消費税の経理方式にしたがって判定します。税抜経理なら税抜の金額、税込経理なら税込の金額です。

ここで注意が要るのは、免税事業者です。免税事業者は税込経理で処理するので、取得価額も税込で判定します。

税抜38万円(税込41万8,000円)のパソコン判定に使う金額特例
課税事業者・税抜経理38万円使える
課税事業者・税込経理41万8,000円使えない
免税事業者41万8,000円使えない

「40万円未満なら一度に経費」と覚えて税抜価格だけを見て買うと、免税事業者の場合は対象外になります。値札やカタログの税抜表示ではなく、自分の経理方式での金額で確かめてください。取得価額には、本体価格のほか、引取運賃や据付費など、事業に使い始めるまでにかかった付随費用も含まれます。

「1つ」の数え方

40万円未満かどうかは、通常1単位として取引される単位ごとに判定します。机と椅子を別々に買っても、応接セットのように通常セットで使うものは、セット全体の金額で判定します。反対に、1回の注文でパソコンを3台買ったなら、1台ごとの金額で判定します。

ただし、年間の合計300万円の上限があります。3台で合計105万円なら上限内ですが、年の途中でさらに買い増しを重ねると、300万円を超えた分は通常の減価償却に回ります。

償却資産税の申告が要る

少額減価償却資産の特例で一度に経費にした資産は、固定資産税(償却資産)の申告の対象になります。10万円未満で経費にしたものや、20万円未満で3年均等償却を選んだものは対象外なので、ここで扱いが分かれます。

償却資産税は、事業用資産の課税標準額の合計が150万円未満なら課税されませんが、申告自体は市区町村に毎年1月末までに行うのが原則です。40万円未満の特例を使った年は、償却資産の申告書にもその資産を載せてください。

買う前に確かめること

  1. 青色申告をしているか。白色申告なら特例は使えない
  2. 自分の消費税の経理方式(免税事業者なら税込)で、付随費用込みで40万円未満か
  3. 取得日が令和8年4月1日以後か。それより前なら30万円未満が基準
  4. その年に特例で経費にした合計額が300万円を超えないか
  5. 翌年1月の償却資産の申告に載せる

出典

本文の法令・国税庁資料は、次の一次情報を確認しています。

この記事は制度の一般的な説明であり、個別の取引の判断を行うものではありません。自社の取り扱いについては、必ず顧問税理士または所轄の税務署にご確認ください。償却資産税の申告は資産の所在する市区町村の案内をご確認ください。法令や国税庁の資料は改正・改訂されることがあるため、最新の情報をご確認ください。

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