2026年9月27日 ・ 消費税

売上が1,000万円を超えた年に、消費税を納めるわけではない

「今年は売上が1,000万円を超えそうだから、今年から消費税を払うことになる」。これはよくある誤解です。消費税の納税義務は、その年の売上ではなく、2年前の売上で決まります。ただし、1年前の上半期で決まることもあり、しかも免税事業者だった年の売上は税込のまま数えます。この3点を押さえると、いつから課税事業者になるのかを自分で判定できます。

なお、インボイス(適格請求書発行事業者)の登録をしている方は、この記事の判定に関係なく課税事業者です。以下は、登録していない免税事業者の方が「いつまで免税でいられるか」を確かめるための話です。

判定に使うのは「前々年」の売上

消費税法9条は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下の事業者について、納税義務を免除しています。基準期間とは、個人事業者ならその年の前々年、法人ならその事業年度の前々事業年度です。

つまり、2026年に消費税を納めるかどうかは、2024年の課税売上高で決まります。2026年の売上が2,000万円になっても、2024年が1,000万円以下で、後で説明する特定期間の判定にも当たらなければ、2026年は免税事業者のままです。

課税売上高その年の扱い
2024年: 800万円—
2025年: 1,200万円—
2026年: 1,500万円基準期間は2024年(800万円)→ 原則として免税
2027年基準期間は2025年(1,200万円)→ 課税事業者

2年前の売上を使うのは、その年が始まる時点で「今年は課税事業者かどうか」が確定していないと、価格設定も請求書も作れないからです。

免税だった年の売上は、税込のまま数える

ここが一番間違えやすいところです。課税売上高は通常、税抜きの金額で数えます。ところが、基準期間に免税事業者だった場合は、売上に消費税が課されていなかったことになるので、受け取った金額の全額が課税売上高になります(消費税法基本通達1-4-5)。

たとえば、免税事業者だった2025年に、税込表示で合計1,050万円を受け取っていたとします。「税抜きにすれば約955万円だから1,000万円以下」と考えたくなりますが、この計算はできません。1,050万円で判定するので、2027年は課税事業者です。

請求書に「消費税」と書いて受け取っていた場合も同じです。免税事業者の売上には消費税が課されていないので、その「消費税」分も売上の一部として数えます。1,000万円の少し手前で免税に収めようとしている方ほど、この違いで判定が逆になります。

前年の上半期で、1年早まることがある

基準期間の売上が1,000万円以下でも、特定期間の判定で課税事業者になることがあります。特定期間は、個人事業者なら前年の1月1日から6月30日まで、法人なら原則として前事業年度開始の日以後6か月の期間です。

この期間の課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者になりますが、課税売上高の代わりに、同じ期間に支払った給与等の合計額で判定することもできます。どちらで判定するかは納税者の任意です。したがって、特定期間で課税事業者になるのは、実質的に売上も給与の支払いも1,000万円を超えた場合です。

2025年1月〜6月2026年の扱い(基準期間の2024年は1,000万円以下とする)
売上1,200万円・給与支払い0円(一人で事業)給与で判定できるので免税のまま
売上1,200万円・給与支払い1,100万円どちらも超えるので課税事業者

ひとりで事業をしている方や、人を雇っていても給与の支払いが半年で1,000万円に届かない方は、特定期間で課税事業者になることは通常ありません。

開業したばかりの年は、判定の材料が無い

開業1年目と2年目の個人事業者には、基準期間の売上がありません。基準期間の課税売上高が無い場合は、原則として納税義務が免除されます(消費税法基本通達1-4-6)。ただし2年目は、1年目の上半期が特定期間になるので、上の特定期間の判定は受けます。

法人の場合は、資本金1,000万円以上で設立したときなど、設立当初から納税義務が免除されない規定があります。個人事業主が法人成りするときは、資本金の額も判定に関係することを覚えておいてください。

超えたら出す届出

基準期間または特定期間の課税売上高が1,000万円を超えたときは、「消費税課税事業者届出書」を速やかに所轄の税務署に提出します。基準期間で判定した場合は基準期間用、特定期間で判定した場合は特定期間用の様式を使います。

これとは別に、免税事業者が自分から課税事業者になるための「消費税課税事業者選択届出書」もあります。名前が似ていますが、こちらは売上が1,000万円以下でも課税事業者を選ぶためのもので、上の届出書とは役割が違います。

課税事業者になる年から逆算して決めておくこと

  1. 前々年の課税売上高を確認する。その年に免税事業者だったなら、税込の受取額のまま数える
  2. 前年1月〜6月の課税売上高と給与等の支払額を確認する。どちらかが1,000万円以下なら、特定期間では課税事業者にならない
  3. 課税事業者になる年がわかったら、その年の1月から請求書の消費税の表示と、価格に消費税分が乗っているかを見直す
  4. 簡易課税を選ぶなら、原則として適用を受けたい課税期間が始まる前に「消費税簡易課税制度選択届出書」が要る。課税事業者になると判明した時点で検討する

課税事業者になる年は、判定の仕組み上、少なくとも1年前にはわかります。わかった時点で準備を始めれば、価格改定の相談も届出も間に合います。

出典

本文の法令・国税庁資料は、次の一次情報を確認しています。

この記事は制度の一般的な説明であり、個別の取引の判断を行うものではありません。自社の取り扱いについては、必ず顧問税理士または所轄の税務署にご確認ください。法令や国税庁の資料は改正・改訂されることがあるため、実際の処理にあたっては公表されている最新版をご確認ください。

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