2026年9月27日 ・ 経費と減価償却

家事按分は「50%以下なら経費にできない」わけではない

自宅の一室を事務所にしている、スマホを仕事と私用で使っている。こうした家事関連費は、仕事に使った部分だけを経費にする「家事按分」で処理します。このとき「仕事に使う割合が50%を超えないと経費にできない」と聞いたことがあるかもしれません。これは通達の前半だけを読んだ誤解です。大事なのは割合ではなく、仕事の部分を明らかに区分できるかどうかです。

法令は「区分できる部分」を経費にする

所得税法45条1項1号は、家事上の経費とこれに関連する経費を、原則として必要経費に入れないとしています。そのうえで、所得税法施行令96条が、家事関連費のうち次の部分は必要経費にできるとしています。

国税庁のタックスアンサーNo.2210「必要経費の知識」も、家事関連費が必要経費になるのは「取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます」と説明しています。

50%の線と、そのただし書き

第1号の「主たる部分」をどう判定するかについて、所得税基本通達45-2は次のように定めています。

「主たる部分が…業務の遂行上必要」であるかどうかは、その支出する金額のうち当該業務の遂行上必要な部分が50%を超えるかどうかにより判定するものとする。ただし、当該必要な部分の金額が50%以下であっても、その必要である部分を明らかに区分することができる場合には、当該必要である部分に相当する金額を必要経費に算入して差し支えない。

50%の線は前半にしか出てきません。後半のただし書きで、50%以下でも、仕事の部分を明らかに区分できればその部分を経費にしてよい、とされています。このただし書きは青色申告者に限ったものではありません。

つまり、自宅の床面積の20%を仕事部屋として使っているなら、家賃の20%を経費にする余地があります。50%に届かないから経費にできない、ということにはなりません。反対に、仕事に使う割合を根拠なく決めているなら、50%を超えていても認められないことがあります。

「明らかに区分できる」ための根拠の残し方

どの基準で区分するかは、所得税基本通達45-1のとおり、業務の内容、経費の内容、家族の構成、家屋などの利用状況を総合して判断されます。よく使われるのは次のような基準です。

経費区分の基準の例残しておくもの
家賃・住宅の減価償却費仕事専用に使っている部分の床面積の割合間取り図と、その部屋を仕事専用にしていることがわかる写真やメモ
電気代仕事に使う部屋の面積や、仕事で使う時間の割合勤務時間の記録、機器の消費電力の目安
通信費(スマホ・回線)通話やデータ通信の仕事での使用割合ある月の利用明細で仕事分を数えた記録
自動車の費用走行距離のうち仕事で走った割合運行記録(日付・行き先・距離)

ポイントは、後から第三者が見ても同じ割合を計算できることです。「だいたい半分くらい」では区分したことになりません。一度決めた基準は毎年同じように使い、使い方が変わったら割合も見直します。

水道光熱費と、仕事に使っていない部屋

水道代のように仕事との関係が薄いものや、家族が生活に使っている部屋は、仕事で使っていると言いにくい部分です。按分の割合を大きく見せるより、仕事で使っていると説明できる部分に絞ったほうが、結果として認められやすくなります。

家族に払う家賃は、経費にならない

親の持ち家の一室を事務所にして、親に家賃を払っている場合は注意が必要です。所得税法56条により、生計を一にする配偶者その他の親族に支払う家賃は、事業の必要経費になりません(受け取った親族の側でも所得にならない扱いです)。

その代わり、その親族がその家屋について負担している固定資産税や減価償却費などのうち、事業に使っている部分は、事業者本人の必要経費に入れることができます。家賃を払う形にしても節税にはならないので、同居の家族の家を使うときは、この扱いで按分します。

消費税の課税事業者の場合

消費税の課税事業者が本則課税で申告している場合、家事と共用する資産や経費の仕入税額控除も、事業に使う部分に限られます。所得税で按分した割合と同じ考え方で、消費税の計算でも家事分を除いてください。

今年の分から整えておくこと

  1. 家事関連費を洗い出し、経費ごとに区分の基準を1つ決める
  2. 基準の根拠(間取り図、走行記録、利用明細の集計など)を、申告の年分ごとに保存する
  3. 割合は根拠から計算し、50%を超えるかどうかで決めない
  4. 同居の家族に家賃を払っているなら、その支払いは経費から外し、家族が負担している固定資産税などの事業分を経費にする

出典

本文の法令・国税庁資料は、次の一次情報を確認しています。

この記事は制度の一般的な説明であり、個別の按分割合の妥当性を判断するものではありません。自分の取り扱いについては、必ず顧問税理士または所轄の税務署にご確認ください。法令や国税庁の資料は改正・改訂されることがあるため、最新の情報をご確認ください。

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